『コンピュータビジョン-視覚の幾何学-』を読んだ

概要

『コンピュータビジョン-視覚の幾何学-』を読んだ。

www.coronasha.co.jp

コンピュータビジョンの中でも3D再構築やSLAMやらをやる上では非常に重要になる(と思っている)のと、Deep以前のコンピュータビジョンの基礎をガッチリ固めておきたかったため。

残念ながらこの本はAmazonではまともな出品がなく、偶然メルカリで見つけたポチ!った。ラッキーだった。

 

内容メモ

 

1章

イントロ。

3次元世界を2次元画像に投影すると情報の欠落が生じる。同じ対象物であっても視点によって異なる観測を得てしまう。多く不定性が残る画像データの中からタスクに必要な情報を抜き出すのがコンピュータビジョンの主眼。

 

2章

射影空間と変換を記述するための数学的準備。

斉次座標

 ユークリッド空間+無限遠要素からなる射影空間内の点を表すには、ユークリッド空間での次元にもう1次元加えた座標で表す。

 

投影からカメラモデルへ

透視投影->射影カメラ(11自由度)

弱透視投影->アフィンカメラ(8自由度)

 

3章

各変換に関する不変量

投影によって乱されない対象物固有の特徴量を得ることがCVの肝。

 

回転変換

2点間の距離、2直線間の角度、閉領域の面積、回転中心からの距離、などなど

ユークリッド変換

2点間の距離、2直線間の角度、閉領域の面積、など

相似変換

距離、面積の比

アフィン変換

一直線上の3点の像の距離の比

平面上の4点の作る面積の比

 

 

射影変換

一直線上の4点による複比

平面上の5点による不変量

 

4章

エピポーラ幾何の話。

\begin{align*}
  \~m^{'T}F\~m = 0
\end{align*}f:id:Riguo:20210602222641p:plain

エピポーラ幾何

最も一般的な射影カメラの場合

異なる画像間の対応関係”エピポーラ制約”がかかる。

行列Fは3x3で階数2の行列で、Fundamental行列という。

定数倍の不定性があるので自由度は7である。

 

f:id:Riguo:20210602223049p:plain

エピポーラ制約

 

Fは8点の対応から線形に求めることが可能(8点アルゴリズムとか8点法とか呼ばれているもの)。

 

並進カメラの場合

並進の場合、全く同じエピポール、エピポーラ線が得られる。これを自己エピポーラという。これを画像の話に持っていくと、画像中に繰り返しパターンが現れる場合にはその画像内で自己エピポーラが成り立っていることを意味する。

 

Rectification

カメラの内部パラメータ、姿勢、位置が異なる場合に、片方の画像に関して、もう一方の内部パラメータで撮影したと仮定した場合の画像との関係性(平面射影変換、8自由度)を得る。これは4点の対応により求まる。

応用先

三次元復元

ビジュアルサーボ

視覚誘導など

 

5章

形状復元の話。

構成済みカメラの場合

不定性無く復元できる。

ユークリッド復元

復元結果がユークリッド変換による不定性をもつような復元。

・内部既知、外部未知の透視カメラ

・内部外部ともに未知、透視カメラ、3視点

など。

 

アフィン復元

結果が3次元アフィン変換の不定性を持つような復元。

アフィン基底4点を取ると、それを元にした座標は不変に保たれる。

これを抽出するのがアフィン復元である。

・未公正のアフィンカメラ2台による復元

・未公正の並進透視カメラによる復元

など。

射影復元

結果が3次元射影変換の不定性を持つような復元。

射影基底5点を取ると、それを元にした座標は不変に保たれる。

・内部、外部共に未知の射影カメラ(最も一般的な場合)

 

6章

カメラキャリブレーションの話。

校正器具を使った場合

予め大きさが分かっている対象物をカメラで撮影し、座標の対応からカメラのパラメータを決める。射影カメラ行列Pは3x4で、定数倍の不定性があるので自由度11。6点の対応があれば6x2=12の拘束条件が得られるので、Pが決定できる。

 

未知の対象物からのカメラ校正

校正したいカメラを動かして3視点からの画像を得れば、自然に置かれた未知の物体からの校正ができる。

無限遠平面上にある仮想の円錐曲線(絶対円錐曲線)の不変性を利用する。

 

 

まとめ

カメラモデル(アフィン、射影など)や変換(ユークリッド->アフィン->射影)で統一的に見ると、やっていることはほとんど同じで、後はそれぞれの次元・カメラ・変換に応じた解き方があるというのを掴むと理解が早かった。

OpenCV or 0からの実装もやっていきたい。